story 1 ~ 序章

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タクシーを拾い真夜中の病院に着くと 坂田の病室がある廊下には 警官がごった返していた。 柏木組次期三代目の柏木元は 俺の兄弟分で幼馴染だ。 その元と一つ屋根の下で育った 四つ上の景は 元とは血が繋がっていない。 本当の両親を火事で無くしていたが 母の腹に包丁が差し込まれていた事 それを無理心中と片づけられた事を不審に思い ずっと犯人を追っている。 柏木の家を出た景は刑事となり 紆余曲折を経て刑事を辞め 今は探偵をしている。 ずっと景だけを想い 景だけを愛する 元を受け入れ 今 二人は恋人同士だ。 日頃 恋愛に興味がなく 煩わしいと思う事が多い俺でさえ 少し羨ましくなるぐらいの仲睦まじい二人だ。 幸せになって欲しいと常に思っている。 二人の為であれば 普段 合理的 論理的をモットーとしている俺でも 無駄だと思う事は無い。 小さい頃から同じ時間を過ごし 一人っ子の俺も可愛がってくれた 景は俺にとっても大事な兄の様な存在で 元はかけがえのない兄弟だ。 俺にそう思わせる人間は少ない。 景の両親の件で うちの組に裏切り者が いる事が 分かった。 兄弟分で大叔父の直近を疑っている。 立場があるだけに 調査は慎重を極めた。 なかなか思うように進まず 正直苛つく毎日を過ごしている。 疑っている事を気づかれてはならない。 絶対に。 坂田というのは 景の刑事時代の同期で マル暴の刑事だ。 この間 景の両親の事件の犯人と思われる 人物に銃で撃たれた。 意識不明の重体だったが 一命を取り留め この病院に入院している。 意識を取り戻した坂田から情報を得て 俺は今 動いている最中だった。
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