温もり

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そうだ。もうすいませんは腹一杯だ。 予備のカイロを数枚矢野の スーツのポケットに突っ込み 矢野に背を向けてその場を立ち去る。 きっとアホヅラでカイロを握りしめながら こっちに頭をぺこぺこ下げているだろう。 わからないならわかるようになればいい。 俺には本来 わからない事などほとんど無い。 既に元には許可を取った。 サポートが後回しになると言ったら アイツは目を瞬き お前は離れてたってちゃんとしてるよと言われた。 そうだ。俺はきちんと出来る。 全てをきちんと合理的にだ。 景にも元のことを頼むと ニカッと笑って頷いてくれた。 般若が居れば鬼に金棒だ。 なんの心配も無い。 俺は車に乗り込み すぐにタバコに火をつける。 タバコだってそうだ。 仕事中だろうがプライベートだろうが もうこれからは吸いたいときに吸ってやる。 兄貴分の鬼頭の番号を押し 相手が出たのを確認して口を開いた。 「・・鬼頭さん。・・はい。お願いがあります。 ・・はい。政友会でヤクに手を出している 奴のリストを下さい。 ・・はい。特にガキに目をつけている奴を。 はい。・・メールが無理なら取りに行きます。 ・・はい。では一時間後に。」 電話を切って煙を吐き出す。 さて。あと何日であのバカをあの場所から 引きずり出せるか。 俺は頭の中で ザッと二日だなと計算した。 後二日。雨にならなければいいが。 俺は車を静かに走り出させた。
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