story 2 ~ プロローグ

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愛は訝しげに眉をひそめた。 全く反応が無い。 今まで落とせなかった男などいない。 身体も顔もモデル並みで 何度も街で声をかけられる。 今の男の他にだって あたしを狙う奴はたくさんいるのに。 子供の頃から可愛いと言われ ずっとチヤホヤされてきた。 男にも金にも不自由した事もない。 欲しい物は買ってもらい 食べたいものは どんだけ高くったって奢って貰える。 とはいえ 毎回自分の好みの男とは限らない。 でも 別に嫌ならすぐに変えればいいだけだ。 名前が愛のくせに 愛って何かよくわからない。 愛だけあったって金が無ければ楽しくないし 顔が悪けりゃ愛せない。 貧乏に震え たった一人の人を愛し 献身的に尽くすとか。 昔の朝ドラじゃあるまいし。 そんなバカな事 到底理解出来ないし 理解する気もない。 でも この男なら。。。 愛は横に座り モルトに口をつける男の唇を見る。 その薄く開く口元に色気があり じっと見つめていると身体の芯が疼いてくる。 セックスは好きだ。 でも なかなか満足させてくれる男に出会わない。 独り善がりで 下手くそな男に当たると 本当にウンザリする。 この身体を触らせてやっているのに 前戯もそこそこに突っ込もうとする。 そういう男はすぐに捨てて他にいく。 ある程度 満足出来るレベルまで 奉仕する男じゃなきゃ。 セックスはイーブンイーブンだ。 自分だけ欲を出すために 人の身体を使うなんて冗談じゃない。 前に友達がイッた事がないと言っていた。 恥ずかしくてあーしろこーしろなんて言えない。 それで嫌われたらいやだ。とか言ってた。 バカじゃないのって思う。 とはいえ。 本当は 身も心も翻弄されるような 甘い夜を過ごしてみたい。 駆け引きで得られる満足感にはドキドキがない。 経験した事がない溺れるような快楽を 感じてみたい。とずっと思っていた。 この男なら。 もしかして。
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