story 2 ~ プロローグ

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その瞬間 男はこちらを振り返り ふっと笑顔になった。 さっきまでのクールな表情とは違い 少し幼さが見えるその顔つきに 胸がドキンと反応する。 ああ。素敵。 髪をかきあげ 薄いグレーのサングラスの奥に 切れ長の瞳が見える。 その鋭い瞳に全身を隈なく見つめられたい。 この人なら本命にしてもいい。 このレベルの男にはそう簡単には出会えない。 今 逃すと一生後悔するだろう。 やっぱり照れてただけなのか。 あたしの魅力に気づかない男などいない。 最大級の威力を持つ 笑顔を返そうと 表情筋を緩めると 目の前の男は すっと止まり木を降り あたしの後ろに声をかけた。 「楓。」 え。。? 楓? パタパタと足音が聞こえ ハッと後ろを見ると男が 息を切らせながら走りこんでくる。 安物のスーツを着たチビだ。 「・・た・・高嶺さん。すいません。 遅れちゃいました。。」 そのチビがすまなそうにぺこぺこ頭を下げた。 高嶺。 それがこの男の名前なのか。 そう呼ばれた男はニッコリ微笑み 「大丈夫です。」 とそのチビの肩を抱き すっと あたしの横に座らせ 自分はひとつ奥にずれて座った。 あからさまに間を取って入れられた。 なっ。。 なんなの一体。。 シカトされた上に この態度。 プライドが粉々に砕け散っていく。
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