距離

12/21
前へ
/802ページ
次へ
本家とうちでは事情が違う。 高嶺にはキツイ状況だ。 正直 こんなに問題が多発するとも 思っていなかったし 俺がこんなに早く また狙われるとも思っていなかった。 何かが 犯人を逆に焦らせたのか。 高嶺に 証拠を掴ませまいとして。。 山岸の入院が長引いたのも誤算だった。 とりあえず まずは体調回復だ。 依然として 頑なに佇む高嶺に向かって 「今日は俺も終いにする。たまにはいいだろ。 俺だって休みたい。」 わざとそんな風に言ってみる。 コイツが来てからお互い一日も休んでいない。 俺の台詞に それは。。と少し考え込んだ。 今日は事務所仕事だけだった筈だ。 これで今日は終いだと言って 高嶺を帰して 俺がやれば済む話だ。 コイツがいない時は俺がやっていたのだが 高嶺はやると言ったら絶対に人に任せない。 実際に高嶺がやった方が早いが こんな時くらい 時間などかかったって構わない。 「いえ。。」とまた否定の言葉を 出そうとするが本当に調子が悪いのだろう。 ぶるぶると体が震え始めている。 熱がもっと出てきているのか。 「病院行くか。」と聞くと首を振り はぁ。と諦めの吐息をつく。 「・・わかりました。すいません。 その代わり帰り必ず信用できる タクシー会社で帰ってください。」 最後まで用心深く高嶺はそう言い 頭を下げてふらふらと揺れながら 事務所を出て行った。 さて。。どうしようか。 体調の回復もそうだけどな。。 仁は顎に手をあて何かを考え始めた。
/802ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6053人が本棚に入れています
本棚に追加