6053人が本棚に入れています
本棚に追加
身体が熱い。
全身燃えているようだ。
喉がカラカラでまるで砂漠の中を
歩いているような感覚になる。
昨日楓との電話が途切れた後しばらく雨に打たれ
帰ってもそのままソファーで放心状態で
座り込んでいた。
はっと気づいた時には朝でその時には
もう身体が熱くこれは熱が
出ているかもしれないと思った。
もともと身体は丈夫で
風邪など引いたことも無い。
覚えていないくらい久しぶりに
熱を出し 身体中がビシビシと
音を立てるようにきしむ感覚に
全身が持っていかれる。
思考も停止しなんとか帰り着きベッドに
潜り込むとそのままひたすら寝続けた。
喉の渇きが限界に達し目が覚めたが
目の前はぼーーっとぼやけ
身体中は熱いくせに
背中はぞくぞくと悪寒が走る。
苦しい。
だが心のどこかで当たり前だと思う自分がいる。
楓をあんなにまで傷つけたのだ。
あんな言い方をする様な奴じゃない。
あんな風に言わせたのは俺だ。
自分の事だけでいっぱいになり
楓の気持ちも何も考えてやらなかった。
言い訳など出来ない。
俺のエゴがそうさせた。
わかってやろうとしなかった。
まただ。また俺は同じ事を繰り返している。
この苦しみは楓の苦しみだ。
俺が受けて当然の苦しみだ。
目を瞑ると思い出すのは泣いている楓ばかりだ。
きっとまた泣かせているだろう。
ちゃんと帰ると約束したのに。
ちゃんと連絡すると約束したのに。
俺は何もしてやらなかった。
楓がくれたLINEの画像も
会えない辛さを煽るだけで見ていない。
このまま終わってしまったら。
あの 距離を感じたまま終わってしまったら。
そんな心配まで腹の中から持ち上がる。
最初のコメントを投稿しよう!