寄り添う

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署の机でぼーっとする俺に 坂田先輩はどうした?と聞く。 が 何のことかわからずついぽかんとする。 「へ。。?」 呆れたようにこちらを見た坂田先輩は 顔を歪ませ もういい。。と首を振る。 なんだろう。。と不思議に思っていると 葛西先輩に 「矢野君。さっきから 坂田 何度か声かけてるけど。  へ?。。しか言ってないよ。」と言われた。 あーー やばい。。 「す・・すいません。。」 どうかした?と聞かれたが  なんでもありません。。と小さくなる。 この間からずっと凹んでいる。 あの雨の日から。 あの後 高嶺に政友会の事務所の近くの カフェまで連れていかれて  席に座って紅茶を飲んでいると  カランカランとドア鈴を鳴らし 一人 ちんぴら風情の若い男が入ってきた。 「あれが斎藤です。」 と高嶺はコーヒーに口をつけながらそう言った。 しばらく斎藤は店のマスターと話してから またすぐに出ていく。 斎藤は若い連中にヤクを捌く手段として パーティーを開いているという。 「え。。じゃあ。。」と俺が言う前に 高嶺は頷き  「被害者の一人が参加していた パーティーの主催者です。」と 教えてくれた。 「矢野さんが張り込んでたグループは この間の事件で警察が目をつけているだろうと 今ターゲットから外しているみたいです。」 そして外を軽く指差し 「この店には日に何度か顔を出しますから 尾けるならそんなに待たないで済みます。」 と言った。
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