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携帯の時間が10時になったと同時に、
「山本さん」
と何人かの声が聞こえてきて、私は振り返った。
会社の同僚達の中に須川さんがいた。
「こんにちは」
私は須川さんの前に行き、にっこり笑顔で挨拶をした。
須川さんもいつもの笑顔で返してくれた。
(きゃ~、この笑顔が最高なのよ)
「じゃ、みんな揃ったことだし、そろそろ行くか」
同僚の小山が大きな声で仕切りだした。
「え?」
私は心の声がおもいっきり出てしまった。
(二人でデートじゃないの?何、この展開。いらない)
「小山、違うだろ」
須川さんが小山の頭を軽く叩いた。
「いいじゃん。一緒に行こうぜ」
小山は甘えた声でそう言うと、須川さんの腕に手を絡ませた。
須川さんはその手を振り払って、
「嫌だ。僕の邪魔をするな」
少し怒り口調で言って私の手をとった。
(えっ)
「走るよ」
須川さんはにっこり笑ってそう言うと、おもいっきり走りだした。
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