凛として

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いつごろからだったかしら。 段々貴方と会う回数が減っていった。 たまに会う貴方は妙に大人びていてだんだん遠くなっていく恐怖を覚えたわ。 私の知らない貴方が増えていくーー。 初めは会ってくれるだけでもいいと思った。 でも会うと抱きしめて欲しい。もっと見て欲しい。 あの頃のようにもっとーー。 どんどん貪欲になっていた。 女なんてそんなもんでしょ? いつしかその感情は憎しみに変わっていった。 あの頃はあんなに愛してくれていたのに。 あの頃はあんなに傍にいたのに。 会えない日々を数える度に自分の中に黒いものがふつふつと湧いてくるの。 たまに会えたとしてもあの頃とはちがう貴方に耐えきれなくて哀しみとも憎しみともとれる感情が湧き上がる。 私は貴方の誰より近くにいたのよ。 私は貴方の一番の理解者なのよ。 戻ってきて。 今なら許してあげる。 いつも通り微笑んであげる。 貴方が着せたがってたあの悪趣味なお洋服だって今ならきてあげてもいいわ。
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