凛として

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ーーーあぁ。ここはどこだっけ。 どれぐらいの距離をきたのかしら。 薄暗い。 パチパチ。 どこからか音がする。 あぁ。そうね。 あの日捨てられたのは私。 出会ってからもう20年も経つのね。 お嫁にいく貴方にはもう私は必要ないものね。 10何年ぶりに会えた貴方はとても綺麗だったわ。 最後に抱きしめて口付けてくれたこと。 私にも涙というものがあるならきっとこぼれ落ちていたことでしょうね。 私にも言葉というものがあったなら 私にも貴方が抱きしめられたなら 私にも表情があったなら 私にも体温を伝えることが出来たなら 私にも血が通っていたなら 次に生まれ変わるなら人間になりたいわ。 人間になって貴方とお友達になるの。 貴方と一緒にお洋服を選んで 貴方とお揃いのお洋服をきて おしゃべりしながら買い物に行くのよ 素敵でしょ? あぁ。 本当に愛していたわ 誰よりも愛しい貴方。 貴方は私の全て。 私は瞑れない瞳を瞑りながら貴方の思い出と燃えていく。 愛する人の思い出と燃えれるなら女としてそれも最高だわ。
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