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教室の一番端。それが僕の机。隅っこが好きな僕にとっては都合がいい席だった。
鞄を横にかけ椅子に腰掛ける。
そしていつも通り、家から持ってきた本を開き、物語の世界に飛び込む。
誰にも邪魔されない世界。僕と登場人物と著者だけの世界。紙と紙がこすれる気持ちいい音を聞きながらページを捲ればまたストーリーが転がっていく。
この疾走感。それがただただ心地よかった。
ちょっと物語に浸っていると、斜め前方から声がした。
「なんの本読んでるの?」
あきらかに僕に向けられた言葉だった。
たぶんさっきの彼ではない。
試しに顔を上にあげた。そいつはクラスのリーダー的存在……というか、カーストのてっぺん……というか、そういうやつだった。
だから無視は出来ないので正直に答える。
「こういう本。青春小説だよ。面白いから読んでみる?」
「へーっ! 面白そう! また読んでみようかなぁ」
なんとなくだけれど、違和感を覚えた。
久しぶりのクラスメイトとの会話。
クラスに馴染めず、次第にボッチになっていった僕。昨日までは。
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