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僕の心は焦れる。 僕は弓道部に入っていて、もうすぐ大会がある。もちろん部員全員が出られるわけでない。そう、今週の金曜日、メンバー決めのための競射──校内戦みたいなもの──が行われる。 だけれど、ここ最近、いや、しばらくの間、不調だ。このままじゃ補欠にすら入れない。そんな気がしてくる。 とりあえず今日も放課後、弓道場に向かう。部室でさっさと着付けを済ましてできるだけ早く始める。そんな微々たる努力をする。 こんなの意味あるのかな……徒労に終わらないよな? 「もっと肩の力抜いて」 そんなことを考えながら弓を引いているとそんな指導を受けた。 そんなこと、分かっているよ。ただ、精神的にリラックス出来ない状況なんだ。 矢を放つと矢は歪に放物線を描き、狙いよりも右へ逸れて行った。
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