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今日は本当はびっくりするくらい調子が良かった。 結構、僕は、皆中(かいちゅう)──4本、全部、中ること──した。 運良く、周りに皆中した奴はいなかった。 僕は選抜メンバー枠に入れた。 やってやった。そういう気持ちしか湧いてこなかった。 今回は選抜メンバーに入れなかった現部長は、道場の隅っこで泣いていたらしかった。 それはそれでちょっと気にかけたけれど、やっぱり自分が望んでいた、大会出場が決まったので一日中興奮していた。 朝が来て興奮が冷めてきた頃、あの日の引っかかりがぼんやりと僕の脳の片隅に現れては消えてを繰り返した。 そして、ちょうどお昼ご飯を食べている時にそれは掴めた。 ──目が覚めて、昨夜の記憶が消えていたら願いが叶う?── そんなおまじないみたいなことが起こるはずないと一旦その考えを消したが、やっぱりそうとしか思えなかった。 不思議な話だった。 同時になんだか笑えてきた。
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