epilogue

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ただ、つまらなかった。 例えば、戦闘ゲームで、最強の武器を手に入れてしまったときのような。その瞬間、自分の周りから全ての障害がなくなる。なんせ、敵を一撃で倒せるものだから。いちいち、強い敵に怯えながら先に進まなくてもよくなる。 そんなの、ゲームの本質じゃない。ただ、敵と出会って最強の武器でそれを倒して報酬をもらう。この単純作業の繰り返しになる。そして飽きる。 今まさに、それのような感じ。 皮肉にも今気づいてしまった。 全ての願いを叶えてしまっても、幸せにはなれないってことに。 ──もうやめちゃおうかな? この世に価値などないよ。── あの時がフラッシュバックする。 なんであの時、そんなこと思ったんだろう…… そう思わなきゃ、こんな“理想郷”に行くこともなかった。 自分の選択が無駄だったことに気づくこともなかった。 自分の人生を無駄に(どぶ)に棄てることもなかった。 なんでだろう。 なんで? なんで? なんであんなこと思ったの? ちょっとの悩みくらい、人生のスパイスだって言うのに。 ねぇ? なんで? どうして? ──もうやめちゃおうかな? この世に価値などないよ。── なんで僕……自殺なんかしたの? ~end~
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