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吉野君に振られ、早希に告白された翌日
放課後、私は桜川先輩に呼び出された。
「萩野 萌さん、だよね?至から、俺達の事を君に話したと聞いて、お願いがあってきたんだ」
そう言って、目の前に立つ桜川夜人先輩は、学校一のイケメンと言われているだけあって、背も高く、顔も整った綺麗な顔で、それでいてどこか、色気も漂わせていた。
その、男の色気というものは、もしかしたら吉野君という恋人の存在が出させているのかもしれない、ふと、そんなことを考えしまった。
「安心して下さい。お二人のことは口外しませんから」
私がそう言うと、桜川先輩は少し笑った。そんなこと心配していないとでも言うように。
「ああ、それは。至が話したってことは、君のこと信用出来るんだって分かってるから。お願いっていうのは、君に俺達の関係がバレないように、隠れ蓑になって欲しいんだ」
「隠れ蓑?」
「俺と君が付き合っていることにして欲しい」
この先輩は一体何を言っているのだろう!私が吉野君に告白した事も知っているはずで、つまり私が吉野君の事を好きだと承知の上で、こんなふざけたことを言ってきたんだ!
「私が承知するとでも思っているんですか!」
「俺と至の事がバレてしまったら、叩かれるのは至だよ?俺が至に付きまとわれていたと、そう言ったら、周りの人間は俺を信じる。至がそんな目に合うのは嫌じゃないか?」
「……」
こんな人が、こんな人があの吉野君の想う人だなんて!
この人は、2人の関係がバレた時は、吉野君を簡単に裏切って捨てると、遠回しに言っているんだ。
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