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こいつ、俺の心を読み始めやがった。
「そんな必死になられても……それより支払いは今そのIDカードに送られて来ますので、指で承認して下さい」
カードを見ると、注文した商品と会計が表示されている。その横の承認と書いてあるところを、指で触ってみた。すると支払い完了の文字が表示された。
「これでいいのか? それよりこれ、エディのIDカードだろ? 誰でも使えるなんて、セキュリティガバガバじゃねぇかよ。大丈夫なのかこの世界……」
「IDカードと魔法手帳はリンクしてます。魔法手帳の所有者しか使えませんよぉ」
「そうか、それなら安心だな……ってエディの奴全財産くれたのかよ」
何だか申し訳ないな、あまり無駄遣いはしないでおこう。
しばらくすると、ベランダから音がした。ガラス戸を開けるとピザとコーラが2本置いてあった。これが……異世界の宅配ピザか。
思い描いていた世界とはかけ離れている……期待するのはもうやめよう。
一矢はダイニングテーブルにピザとコーラ置いてケッツを呼んだ。
「おい、ピザ届いてるぞ。早く来ないと全部食べちゃうからな」
腹いせにケッツのコーラを振りながら、一矢はピザを一切れ口に運んだ。
「異世界のピザ超うめぇ!!」
「あーもう、先に食べないで下さいよぉ! 後あたしのコーラ振らないで下さい!」
「異世界ピザ最高だー!」
色々期待を裏切られたけど、まぁいっか……ピザうまいし。
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