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 一体、誰譲りのものなのか、あまのじゃくな上に頑固な性格で、子供の時分から損ばかりしている。  まだ綱島の社宅に住んでいた幼稚園の頃、周りの男の子たちは皆、いわゆる戦隊モノの話ばかりしていた。「なんちゃらレンジャーがかっこいい」とか「かんちゃらライダーのあの必殺技が最強」とか、そういった類いのあれだ。しかし自分はと言うと、それとは全く別のアニメに夢中になっていた。「レンジャー」にも「ライダー」にも、目もくれなかった。するとある日、同じ幼稚園の誰かがそのことを馬鹿にして、こう言った。  「ギンノスケ君って何にも知らないんだね、ヘンなのー」  カッときてそいつの頭をポカリと叩いたら、思いがけず大泣きされ、あとで先生と親にみっちり叱られた。悔しかったのでそれ以来、意地でも「ライダー」や「レンジャー」を見ないことにした。長じて、周りが「ベーゴマ」の進化形のようなおもちゃや、「モンスター」同士を闘わせるゲームでワイワイやっている中でも、構わずひとりで70年代のSF人形劇に没頭していた。お陰で今では、友人と分かち合える「子供の頃の共通の思い出」というものを持たぬ。今思うと、少し口惜しい気がしなくもない。
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