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 「それでは・・・先ほど、『この会社』で働くに当たって、大変なのは『朝早く起きること』と仰いましたね?」  「ええ」  「それ以外には、本当にないのですか?大変なことは?」  「そうですね・・・」  ブレザーは少し考えるような素振りを見せた後、  「うん。やっぱり、ないですね。本当に、ヘイシャはいい会社だと思いますよ!」  満面の笑顔でこう返答してきた。  「なるほどなるほど・・・それでは、『この会社』の社員には、辞める人もいないのでしょうねえ」  途端に、ブレザーの顔が凍り付いた。場の空気もだ。一応言っておくが、「あまのじゃく」とは、周囲の雰囲気に鈍感な者と同義ではない。むしろ逆で、痛いほど敏感な種族と言ってもよい。空気に逆らうことが、一文の得にもなりはしないことも知っている。だが、違和感を感じた時に、その違和感を心の奥底に封じておくことが出来ないのだ。声に出して、疑問を提出せずにはいられないのだ。そうして結局、顰蹙を買う羽目になるのである。つくづく、損な性分だ。
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