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ともかく、その時の自分は、周囲の不穏な空気を十分に感じていた。だが、もはや止まることは出来ぬ。
「・・・どうしましたか?辞める方はいらっしゃらないんですよね?」
重ねてこう質問すると、ブレザーは一瞬、こちらを睨みつけた。そして、慌てて笑みを顔に戻すと
「・・・まあ、若干名はいます」
「若干名?もう少し具体的には分からないのですか?」
「ええと・・・そうですねぇ・・・」
そこでブレザーは、傍らに立っていた同僚と思しき人物と小声で話した後、
「ちょっと今は、正確な数をお伝えしかねますね~。でも、そう多くはないのは、確かですよ」
と、いかにも取り繕った答えを発した。
「はあ、正確な数は把握していないけれども、とにかく『少ない』ことだけは確かなのですね。なるほどなるほど・・・」
先ほどの意趣返しとばかりに厭味ったらしく言ってやったら、今度は露骨に睨みつけてきた。なに、構うものか。
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