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『三女』朱葉はふと眼が覚めた。一日の大半はベッドの上で過ごす身の上だ。
異能の力を継いでから姉たちの厄災、心身的な疫病を受け、五感は鈍く片足は力が入らない状態である。
まともに一人で生活を送ることも出ない。誰かの介助が必要であり、外に出ることもかなわない。
日頃の不自由さを晴らすように無理難題な我儘を吐いても誰も文句は言わなかった。
大事に手厚くもてなされるのは『三女』が綾瀬の要であるからだ。
視点の定まらない視界の中。
最近になって自分が仕掛けた『呪』が綻び始める頃合いだと気がついた。
昔、特定の人物にかけたものだ。
朱葉の呪いは強力だ。
ただその『呪』はとある仕掛けで解けてしまうよう術を施してあった。
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