つばさ

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   小学六年生になると、ちらほらと月の話になった。  発達のはやい子は毎月来る鬱陶しさや、腹痛や腰痛、胸のはりや眠くなるのに奮闘しているらしい。  保健体育の授業を受け、母ともそんな話をした。 「そうね。いつかは大人の女性になってしまうのよね。でもまだつばさちゃんはお母さんの子供でいてね」  成長しないで、と暗に込められた呪い(ごと)。  つばさとてずっと母の子供でいたいと思っていた。  いつまでもこの時間が続けばいいのにと切に願っていた。  平均身長よりも低いつばさにはまだ縁のない話だと思っていた。  十分な食事も睡眠も与えられ何不自由ない生活をしていても、つばさの成長は著しかった。  それはまるで成長することを拒むかのように。  それでも来るべき日は来るのだ。
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