九妖閑話―くようかんわ―ドンカンな僕が呪い巫女のお世話係になった経緯(ワケ)

つばさ

　
（お腹、痛いな……）

　数日前から原因の腹痛に見舞われる。
　腹を下すというわけではない。
　もっと内側からズグズグとしたいいようのない痛みだ。
　用を足しに手洗いに足を向ける。

　下着をおろしたとき赤黒いシミに気がついた。
　血だと思った瞬間、ざわりとした感覚が全身を駆け巡った。

　暗い部屋。赤ん坊だった頃の姿。三人の人間が見下ろしている。

　一人は若いころの母だ。
　もう一人は片目を髪で隠した大人。
　そして最後の一人はどこか怖い印象の少女。
　額に、つ、と指先が押し付けられた感覚がある。

　――『呪』をかけた。解ける方法はこの子が大人になった証がでたとき。

　それが何のことなのか今日(こんにち)まで不明であった。

　大人になるって、学校を卒業すること？
　働いてお金を稼げること？
　結婚して子供を育てること？

　そんな子供だましの生ぬるい定義ではなく、成長すれば女子なら明確に証明できるではないか。

　母があれだけ子供のままでいてといっていたのに。