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「カミサマといっても異能の力を持った人間の女の子です」
眠る儀式として身体が冷えて眠れないという朱葉のために手を握る。
最初は照れくさかったが、血の通っていない冷えた手を自分の熱を伝えることで朱葉が少しでも安らぐのではと、始めたことだった。
夜中、心地よく眠る朱葉の寝顔を見たとき、多幸感が溢れた。それは使命感でもあり庇護欲を駆り立てるのだった。
「小さな村でした。そこでは時々そういった不思議な力を持つ子供が産まれ、イキガミ様として丁重にもてなされるのでした。
しかもその家には三人の娘がおり、その三人すべてが異能の力を持っていたのでした」
「それって凄いことですよね」
「一番上の姉は、道具を創ることに特化していました。石から金属を、植物から布を、水滴から薬を創ることができたのです。――まぁ、いまでいう錬金術的なアレね。原材料を知って何に変換出来るかを熟知していたわけ」
「はぁ」
昔話なのだ。多少の矛盾は眼を瞑ろう。
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