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「え? あぁまぁ、なんだかんだとべったりなんですよね」
「ふぅん」
興味があるのかないような相槌である。
「それより続きが気になるんですが」
「長女は三女の遺体をそっと木の幹に横たわらせました。まるで眠っているかのように。あとでちゃんと埋葬しようと。そばに咲いていた黄色い花をそっと添えて。
長女は許せませんでした。村を襲った盗賊もそれを招いた村人も。
眼の前には緋色の海が広がりました。
すべてを燃やし尽くしてしまおうと長女は誓ったのです」
その後、長女の行方は誰も知りません。
「そういえば二番目の娘さんはどうしたんですか? 登場してないみたいですけど」
「次女は運よく、その時村にはいなかったのよ。占いの仕事で隣村に行ってたみたいで。まぁ村の惨劇をみて絶望したでしょうね」
「つらい、ですよね……」
「その後、次女は村を離れ、方々を転々として『歩き巫女』に拾われるんだけど、――それはまた別のお話ね」
「――――」
隣では規則正しい寝息が聞こえる。
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