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よほど眠気を我慢していたのだろう。
もともと不眠症で眠れない朱葉が安眠できるよう術を施したベッドだ。
耐性のない柊護は一瞬で夢の中である。
「ごめんね。つらい話しちゃって」
柊護にではなく、闇夜の中で首を振る幼女にである。
三女は埋葬されることもなく静かに朽ち果てた。
森に棲んでいた野犬が喰い荒らしたのだ。
――アネサマ、アネサマ。ドウカ行カナイデ。アァ、動ケル身体ガアレバ。ソコノオ犬サマ、私ノ身体ヲ差シ上ゲマス。ダカラ、アネサマノ所マデ連レテ行ッテクダサイ。
飢えていた黒い大きな犬は、その幼女の望みを叶えた。
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