『三女』

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  ***  柊護が来るまでは眠れない夜がほとんどだった。  なにぶん油断していると、悪いモノがどんどん増殖して部屋を侵食してくる。  黒犬が喰い殺し排除してくれているが数が多すぎるのだ。  よく眠れますように、などと小学生か中学生のような、お手て繋いで眠るなど朱葉にとってはむず痒いことこの上ない。 (本当はもっと手っ取り早く生気を吸収したいんだけどな)  呪いを解くにも術を使うにもエネルギーがいる。一人で生活してる分にはあまり支障がないが、そうもいかない。  無理矢理に一緒に寝ることを促したのもそういった理由がある。  皮膚接触でも生気は補えるが時間がかかりすぎる。  桔梗の呪いを解くにもそのせいで時間がかかってしまった。  生気を効率よく吸収するには粘膜接触が一番なのだ。  それによる高揚感が何よりの薬なのだから。  
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