『三女』

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  (ぶっちゃけ、一発やれたらなぁ)  と、不純なことしか考えが浮かばない。 (でもこの子、経験なさそうだろうし)  仕事の後、無理矢理に唇を重ねるというパワハラとセクハラのオンパレードでも、柊護はけなげに耐えている。  真面目なのだ。だからこそ否定せず、自分ができるべきことをする。  それがどんなに理不尽であってもだ。  眠っていることをいいことに身体を触りたい放題する。規則正しく上下する胸囲に耳を当て、生きている証の鼓動が心地よい。 (帰っちゃうのかな……)  桔梗が目覚めるまでの世話係である。柊護にとって朱葉を一生面倒見る義理は、全くないのだから。 (ずっとそばにいて欲しいな)  そんな想いは闇の中で静かに消えて行った。  
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