囚われのプロポーズ

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時刻は23時過ぎ。 普段は宗ちゃんが“そろそろ帰るか”と言い、はると二人帰っていくのだが、今夜は日本代表のサッカーの試合があった。 私はサッカーにそれほど興味がないが、皆で観戦する空気は好き。 夏休みであり、四人とも朝予定がないことからサッカー観戦が始まったのが午前0時を回りそうな頃だった。 ちなみにサッカー観戦はこれまで二度皆でしたことがある。 ここまで深夜なのは初めてだったが、抵抗はなかった。 三人が熱く応援する中、私もそれなりに“頑張れ頑張れ”と応援していた。 皆、熱中しすぎたせいだろう。 いつもより飲みすぎた傾向にあった。 もちろん私も。 サッカーの試合は引き分けで、宗ちゃんが“なんだよ”と愚痴を溢していたところまでは覚えている。 私はいつの間にか寝てしまっていた。 アルコールを摂取した時の眠りは浅い。 私の場合そうだ。 次に眠りから覚めたのは、感じたことのない妙な感覚を身体に覚えた時。 瞳を開けるとまず目に入ってきたのは、ゆりの部屋の太陽の形をした珍しい電気。 その次に、はるの顔が視界いっぱいに入ってきた。 「起きた……なつき?」 なぜかはるは囁き声で私に顔を近づけていた。 「え?」 “なぜはるがこんなに近くに……?”と思ってすぐだった。 下腹部に私を起こした妙な感覚を感じた。
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