囚われのプロポーズ

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「なつき、そろそろ結婚しないか?俺たち」 それは休日の日曜日の昼下がり。 彼氏である大江(おおえ)はるの家のリビングのソファで彼と並んでテレビを見ている時だった。 「……結婚?」 「あぁ」 「ちょっと待って、結婚って……まだ私、24だよ?」 「俺だってそうだよ」 「それは……わかってるけど」 私は下唇を強く噛み締めた。 “どうしたっていうの?突然……” 「なつき言ってたじゃん。“初めては結婚相手とする予定だった”って」 「……それは」 「俺はなつき以外と結婚する気ないよ?」 はるは少し垂れ目がちな瞳をますます下げ、小さく笑った。 私はとても笑えないけれど。 私たちは付き合って、四年目。 世間一般では四年付き合えば結婚という流れは普通かもしれない。 しかし、私たちの始まりは最悪なものだった。
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