囚われのプロポーズ

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「さっきコンビニでゆりの元カレに会ったよ」 突然宗ちゃんが思い出したように言ったのに対し、ゆりが「わ、最悪。聞きたくない」と耳を塞いだ。 「“ゆりは元気してる?”って聞かれたけど」 ゆりは「わーわーわー」と言って何も答えない。 ゆりはつい先日まで彼氏がいた。 だが彼氏の浮気で別れたのが一週間前。 彼氏はよりを戻したがっているが、ゆりにその気はないよう。 「ちゃんと話し合えばいいのに」 「イヤよ、どうせいいわけばっかなんだから」 「ゆりがそれでいいならいいけど」 宗ちゃんはゆりを心配そうに見つめている。 ゆりは優しいいとこを持って幸せだ。 「いいわよ。それにもう男はこりごり」 「それは言いすぎ。皆が皆悪いヤツってわけじゃないよ」 宗ちゃんがそう言うがゆりは「いや男なんてみんな浮気するんだから」と口元を膨らます。 「なつきちゃんもそう思う?」 矛先が私に向かうと、ゆりが「なつきは今どき珍しいくらい純情なんだからわかるわけないわよ」と言った。 「そうだった。なつきちゃんはこれまで彼氏がいたことがなかったんだったね」 「うん……」 するとはるが「彼氏ほしいと思わないのか?」と割った。 「私、結婚する人じゃないと付き合いたくないの」
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