囚われのプロポーズ

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その思考は両親と9つ離れた姉夫婦への憧れからきている。 両親も姉も幼馴染みである父と義兄と結婚したのだが、双方ともお互いに初めて同士の恋人との結婚だった。 両親も姉夫婦もとても仲がよく、幸せそうな生活を送っている。浮気のうの字も出ることもない。 私はそれはお互いに初めて同士の恋人からの結婚であるからだと思っていた。 今どき珍しいかもしれないが、結婚する相手でないと付き合いたいとは思えない自分がいる。 「それ、本気だったの?」 はるが少しだけ瞳を大きく開いた。 別に隠しているわけでもないため、前にも話したことがある。 どうやら本気にされていなかったよう。 「本気だよ、私の両親や姉夫婦は初めての恋人同士で結婚してるから私もそうしたいの」 「へぇ……」 はるは平坦な口調で言った。 「今どき珍しすぎるよね?」 ゆりはそう言うと「なつきには言うんだけど、もし身体の相性が合わなかったらどうするの?って思わない?」と宗ちゃんとはるを交互に見つめた。 「なつき……」 私は下ネタが苦手。顔を両手で覆った。 「だってそうでしょう?大切なことよ」 今度は私が「わーわーわー」と耳を塞ぐ番。 宗ちゃんもはるも私に気を遣ってか流してくれた。
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