大雨のアクシデント-2

24/24
65人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
薄手なので透けて、女という存在を強調していた。 四年前のことがフラッシュバックする。 「い、イヤ……」 小さな声が漏れた。 ガタガタと身体は震え始める。 身体があの日の暑さを思い出す。 嫌だと言ってもやめてくれなかった強い力。 叫びたくても声も出せなかった恐怖。 ギラついた瞳。 傷つけられた痛み。 「どうしたの?」 矢野さんは私の肩に手を置いた。 「さ、触らないで……」 あの時のはると重なる。 より身体が震えるのを感じた。 走って逃げ出したい。 しかし腰が抜けたように、動けない。 「震えてる。寒いんじゃない?」 それでも首は動き、“イヤイヤ”というように横に何度も振った。 「大丈夫じゃないでしょう。部屋をとるから、おいで」 矢野さんの手が私に伸びる。 恐怖に私の心は絶叫したけれど、出た声は四年前と同じような「イヤ……」という小さな声だった。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!