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薄手なので透けて、女という存在を強調していた。
四年前のことがフラッシュバックする。
「い、イヤ……」
小さな声が漏れた。
ガタガタと身体は震え始める。
身体があの日の暑さを思い出す。
嫌だと言ってもやめてくれなかった強い力。
叫びたくても声も出せなかった恐怖。
ギラついた瞳。
傷つけられた痛み。
「どうしたの?」
矢野さんは私の肩に手を置いた。
「さ、触らないで……」
あの時のはると重なる。
より身体が震えるのを感じた。
走って逃げ出したい。
しかし腰が抜けたように、動けない。
「震えてる。寒いんじゃない?」
それでも首は動き、“イヤイヤ”というように横に何度も振った。
「大丈夫じゃないでしょう。部屋をとるから、おいで」
矢野さんの手が私に伸びる。
恐怖に私の心は絶叫したけれど、出た声は四年前と同じような「イヤ……」という小さな声だった。
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