大雨のアクシデント 2

「お子さまって……」

山谷さんは困り顔になるが、私にとってはありがたいことだった。

まるで助けられた気分だ。

三上さんは近くにいたウェイターから、山谷さんに薦められたものと似た色の液体の入るグラスを受けとり、戻ってきた。

綺麗な色だった。

「藤下はこれでも飲んどけ」

それは私の前に差し出される。

「これは……？」
「ザクロジュースだそうだ」
「あ、ありがとうございます」

すんなり受けとってしまったが、山谷さんと視線がぶつかりハッとした。

「す、すみません……」

山谷さんのものを断ってすぐ、三上さんのものを受け取る私はなんて感じがわるいのだろう。

希子さんや咲良さんは私がお酒が苦手だと知っているものの、私は一応職場の飲み会では一杯目の注文はビールにし、希子さんに飲んでもらうので、きっと山谷さんや三上さんまでは浸透していないはず。

説明しようとしたのだが、「謝ることなんてないよ。なっちゃんにその色もピッタリだね」と優しい言葉をかけられたので、まずは「ありがとうございます」と礼をした。

しかもすぐ、「お疲れさまでーす」と咲良さんが入ってきたので、意識が別に逸れた。