君への確かな想い

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昨晩のこと。 なつきには申し訳ないと思ったが、彼女が男性嫌いになった理由を、会社に戻ったタイミングで原口には話をした。 どうしても、アドバイスが欲しかった。 原口にはなつきのことを会う度に話していたため、彼女が意識を失い診てもらった時は、彼に“初めて会った気がしない”と言われたほどだ。 なつきを診断した時は、“男の俺に診られたくないだろうから”と、被り物を持参して彼女に触れていた。 その際は過去に男性を受けつけられなくなった何かがあったのではと疑い、知り合いの女医の専門医を紹介しようかと言われただけだった。 だが、恋人に乱暴をされたなつきのことを話すと、原口はなつきの症状を乱暴による“RTS レイプ外傷症候群”だろうと言った。   「こんなこと言いたくないけど、ちょっと面倒な相手じゃないか? 簡単にはいかないと思うよ」 原口はそう言ったが、俺はチャンスだと思っていた。 「いや、そんなことはない」 ようやくここまできたのだ。 やっとスタートラインに立てたような気さえしている。 「そっか……。まぁ、まだ彼女の相手が誰かもわからない他人じゃなくて、恋人だから救いやすいかもしれないしな」 そうなのだろうか。 そうだといいとスマホを持つ手に力を入れた。
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