君への確かな想い

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原口との電話を終えてすぐだった。 なつきから電話がかかってきたときには、慌てた。 彼女に対しては駆け引きなど不要である。 ワンコールで出た俺は少し期待混じりだったかもしれない。 だがそれは、彼女の“助けて”の声を聞きどこかへ吹き飛んだ。 夢中で車を飛ばしすぐさま家にかけつけると、男が一人廊下に倒れていた。 見るからに酔っぱらいの男が手すりに寄りかかっており、男を家へ戻すとすぐ、家の扉を開ける。 彼女が俺に飛び付いて来たときには驚いた。 男嫌いなはずなのに。 俺も男なのに……。 可哀想に思いつつも、頼られていることに喜んでいる自分がいるのを感じた。 守りたい。 彼女を俺が守ってあげなければ、と強く思った夜だった。
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