すべてのはじまり

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手が震える。 手を手で押さえ震えを止めようとすると、その上に三上さんの手が乗った。 「断るかかなり悩んだんだが……」 「……」 断るなんてとんでもないことだ。 首を横に大きく振る。 「うん、すまない。高橋さんの紹介でなければ、断っていた」 それはじゅうぶんにわかっている。 三上さんの選択は正しい。 「大丈夫です……」 はるにさえ会わなければ大丈夫だ。 はるの部署は営業だった。 きっと大丈夫だろう。 「打ち合わせなんかは、すべて先方でするつもりだから、心配するな。 一応報告しておきたかった」 事務である私に、決定されたばかりの機密事項は普通話さない。 三上さんの気遣いが伝わった。 「朝から、嫌な気分にさせてすまない」 「……いえ、教えてくださってありがとうございます」 はるの悪夢はまるでこのことを知らせていたのだろうか。 三上さんの手に力がこもる。 今はこの温もりにだけ、甘えたい。
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