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これまでも外堀から埋めてきたはるのことだ。
同じことをするに違いない。
私と連絡がとれなかった間、作ったのだろうか。
相思相愛なら嬉しいサプライズかもしれないけれど、少しも喜べない。
三上さん以外に見せているかは謎だが、もしまだだとしても、はるの会社の人たちや、はるの親族に配られるのは時間の問題だ。
はるはすぐにでも結婚したがっていた。
親族に会わせたがっていた。
彼らしい行動だ。
招待状を見つめる。
笑顔のはるの横に映る固い笑顔の私と視線がぶつかる。
少しも幸せそうでない。
ずっと、初めて付き合った人と結婚するのが幸せだと思ったけれど、違うとようやく気がついたのに。
“なつきは俺以外と結婚できるの?”
はるのいやらしい顔を思い出す。
身体が震えた。
「仕事も辞めさせてほしいと言ってきた。
もちろん断ったが……。
俺はお前から結婚するなんて聞いてないと言ったが、照れてるだけだと返してくる。
なぁ藤下、これから俺も一緒にあいつと話をしないか」
「……え」
“こんなに早くはると話さなければならないの……”
話さなければと思ってはいるが、突然やってきた機会に震える。
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