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それに、私も、はるも、三上さんも仕事だってある。
「今日は急ぎの仕事もないし来客もない。あいつは何時間でもお前を待つって言ってる。
こうなったら早く話をするべきだと思うが」
「……でも」
怖い。
「大丈夫だ、俺もいるから」
私の心を読んだように言って、優しく頬を撫でた。
「三上さん……」
「お前は離れたいんだろう?」
「……はい」
「新しく踏み出せるチャンスだぞ」
ーーチャンス。
四年前の私に戻れるチャンスだ。
はるのいない場所で息がしたい。
怯える毎日から抜け出したい。
招待状を三上さんの手から抜き取り、半分に折った。
別れるなら早い方がいい。
それこそ、婚前パーティの日が近づいてきてしまう。
「……一緒にいてくれますか?」
「あぁ」
それに、三上さんがいるなら……。
私はゆっくりと頷いて、「お願いします」と言った。
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