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会社から一番近いホテルの和食屋の個室にはると向かい合わせに座っている。
ちなみに三上さんは私の横にいる。
会社では話が筒抜けになるかもしれないと危惧して、三上さんが選んだ場所だった。
はるは不機嫌さを隠しきれていない。
“なぜ、三上さんがいるのだ”
“なぜ、私と三上さんが隣同士なのだ”
そう言いたげの視線を向けている。
私と三上さんは話をすると決めてすぐ、ここに来た。
はるには後から場所を伝えて来てもらった形なので、状況を把握できていない感じだろう。
「何か、食べられます?」
三上さんが場を和ませようと言ったのだろうけれど、はるは「そんなことより、どういうつもりですか?」と怒り声を発した。
当たり前に私の身体は震える。
「どういうつもりというのは?」
「人の彼女を連れ回して、何なんですか?」
「は、はる……」
三上さんは悪くない。
そう思い、はるを呼ぶとギロリと睨まれた。
ビクリとし、反射で肩が上がる。
けれど次に怖いくらい優しい笑顔を向けられた。
「なつき、土曜の夜のことを気にしてるんだろ?」
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