すべてのはじまり

そして、驚く台詞を発した。

「もしかしてなつき、こいつと寝たの？」

瞳を見開き、はるを見つめる。

「その反応そうなんだろう？」
「……」
「なつき簡単に抱かせてくれたもんな……」

ーー何てことを言うのだろう。

はるを心からひどいと思った。
そして、四年もの間、私はなんて卑劣な男と付き合っていたのだろうと寒気を覚えた。

「俺だけじゃなくなったか……」
「おい、やめろ」

はるがすべてを言い終える前だった。

「お前、最低だよ」

三上さんが大きな声をあげたのは。

クールな人だが、声を荒げる人ではない。

「お前は彼女が好きなんじゃないのか？
それなのになんだよ……自分がどれだけ酷い事言ってるかわかってんのか？ほんと、ろくでもないヤツだな」
「あんたは関係ない。黙っとけよ、俺はなつきと話してるんだ」

非礼な態度にハラハラする余裕もない。

私の心はショックと悲しみで吹き荒れている。

“簡単に抱けた”

はるの言葉がナイフのように胸に突き刺さり、グリグリと掻き回し私を苛める。

「関係ある。俺は彼女が好きなんだ」

三上さんの告白も、そう今は胸に響かない。