すべてのはじまり

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「ちょっ、やめろ……」 はるの言う通りに三上さんは手を離すと、次に私の腰を抱き留めた。 「なつき……」 はるは自分の手首を押さえ、私を見つめている。 その瞳は怒りと悲しみで溢れて見えた。 「はる、私、もう無理……」 「……なつき」 「私と別れて、お願い……」 嫌だと言われても、無理だと言われても、私の意思は固い。 もうはるに揺らぐことは決してないとわかる。 私のことを好きだった。 その気持ちは強く伝わっていたけれど、あんなひどい言い方はない。 売り言葉に買い言葉的なものだとしても許せない。 “私があの夜からどれだけ苦しい日々を送ってきたと思う?” はるをバシバシと叩きたい。 だけど、同じくらい見たくない。 「悪かった。言いすぎたよ」 私は首を大きく大きく横に振った。 「もう、無理……」 「なつき……」 私は俯き、彼を視界から消す。 しばらくしんとした空気が流れた。 「ごめん、また話そう」 はるはそう言ったけれど、私は「さようなら」と返した。 はるは静かに出ていった。
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