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「あの……希子さん、彼とは別れるんです」
すると希子さんは「え……!」と固まった。
「な、なんで!?結婚は?」
プロポーズを羨んでいた希子さんだ。
彼女の顔を見るだけで“なんで、もったいない!”という声が聞こえてきそう。
「なので結婚もしません……」
「えぇ……!どうして?」
「……」
どこから説明すればいいのだ。
言ってしまったものの、困る。
「まぁ、色々あるんだよ」
三上さんが私の肩にポンと手を置いた。
だが、それで引き下がる希子さんではない。
「色々?何ですか、えぇ?
しかもなんで三上さんの隣に越すの……?謎だらけ……」
知りたいアピールに、ここは本当のことを言うべきなのか迷った。
「俺が藤下を好きだから、隣に越させた」
「……へ」
「それだけだよ。もういいだろ?」
全然答えになっていない。
けれど、追求したい気を逸らすにはじゅうぶんだったよう。
希子さんが固まった。
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