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こうなったなら、モタモタせずにもう、別れ話をするべきだろう。
震える身体を正し、息を飲む。
はるに休憩時間まで待って、と伝えようと思ったが、それより先に三上さんが口を開いた。
「彼女今、仕事が立て込んでまして、休憩時間までまだかかります。よかったら、奥で待たれませんか?」
三上さんは自分の部屋を手で差した。
はるはまさか三上さんの部屋だとは思ってないに違いない。
「……え、あぁ……よろしいのですか?」
「構いませんよ。どうぞ」
三上さんが私の肩をポンと叩いた。
はるは私をしきりに見つめていたけれど、案内する三上さんの後に続いた。
バタンと扉が閉まると、社内がざわつき始める。
こういう時、ほっとけないのが希子さんだ。
「ちょっと……彼と何があったの?」
でも、希子さんの存在がありがたくも感じる。
きっと、希子さんがいなければ微妙な空気が立ちこめていたに違いないから。
「もしかして、なっちゃんをかけた三上さんと彼のバトル……とか?」
そういう恋愛チックなものならどれだけいいだろう。
答えに悩む。
苦笑いすると、勘違いしたのか希子さんが“キャッ”と顔を赤らめた。
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