65人が本棚に入れています
本棚に追加
「座ろうか」
はるは私の背に触れようとするので、彼から離れて頷いた。
きっと不機嫌になっただろうけれど、改めて顔色は見なかった。
四人掛けの席に向かい合わせにすわると、私たちがよく来ることを知っている店員に「お久しぶりですね。お二人で来られるの」とにこやかに微笑まれた。
「……お久しぶりです」
ぎこちない笑みを返す。
「ごゆっくり」と店員はお冷やグラスを置き、さがっていく。
「俺はよく一人でも来てたよ」
グラスに口をつけた後、はるは笑った。
「そう……」
「今日は来てくれてよかった」
「はるがあんな手紙渡すからでしょ……」
キッと睨むがはるには通用しない。
「何にする?なつき冬はよくクリームソースを欲してたよね?ドリアにする?」
私のことをよくわかっているはる、メニュー表を見せて「食事でもしながら話そう」と言った。
最初のコメントを投稿しよう!