確かな恋心

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「座ろうか」 はるは私の背に触れようとするので、彼から離れて頷いた。   きっと不機嫌になっただろうけれど、改めて顔色は見なかった。 四人掛けの席に向かい合わせにすわると、私たちがよく来ることを知っている店員に「お久しぶりですね。お二人で来られるの」とにこやかに微笑まれた。 「……お久しぶりです」 ぎこちない笑みを返す。 「ごゆっくり」と店員はお冷やグラスを置き、さがっていく。 「俺はよく一人でも来てたよ」 グラスに口をつけた後、はるは笑った。 「そう……」 「今日は来てくれてよかった」 「はるがあんな手紙渡すからでしょ……」 キッと睨むがはるには通用しない。 「何にする?なつき冬はよくクリームソースを欲してたよね?ドリアにする?」 私のことをよくわかっているはる、メニュー表を見せて「食事でもしながら話そう」と言った。
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