確かな恋心

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昼休みは時間が限られている。 だから食事を終えるとすぐに三人は店を出た。 早く解放されたかったからホッとするはずなのに、はるの発言が気になっていて、はるが「じゃあ、俺はここで」と言って背を向けた時に、少し追いかけたい自分がいた。 三上さんのことが心配。 三上さんのことが気になる。 “何をしてるかも知らないで……。 それはどういう意味なの?” 離れていくはるの後ろ姿を見つめていると、希子さんが「なっちゃん」と呼ぶのでハッとした。 「はい」 「彼、なっちゃんのこと今も好きみたいね」 苦笑い。 少しも嬉しいと思えない。 「あのね、これ……」 そう言って、彼女は私に四つ折りにしてある小さな紙を渡した。   はるからだとすぐにわかった。 「なっちゃんに渡してって」 やっぱり。 背中に冷たい汗が流れるも、三上さんのことだとピンときて、早く開けたくなった。
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