確かな恋心

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ーー翌日の夕方。 「お疲れさまでした」と、会社を出た私は“ユーカリ”に急いだ。 何かあっては困るから、コートの中には防犯ベルを忍ばせていた。 胸はドキドキしている。 あの暴言を吐かれた日のことが、つい昨日のように思い出される。 私を簡単だったと言っていたはる。 最低な台詞は、私をより男嫌いにさせそうだけれど、私は三上さんに逆の感情を持った。 二人では会うのは怖いけれど、三上さんには迷惑をかけられない。 ーーカランカラン。 店の扉のベルはなんだかレトロっぽくて好きだといつも思っていた。   だが今はそんなことに気をとられている暇はない。 「なつき」 はるは待ち構えていたようで、扉を開けたすぐのところに立っていた。 普段お客さんでいっぱいの店内だが、今夜は少なかった。 思わずポケットの中に手を入れて、防犯ベルの存在を確認した。
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