確かな恋心

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「飲み物だけでいい……」 長くいたくない。 話を聞いて、少しでも早く帰りたい。 「……そんなに早く帰りたいの?」 「うん」 はるの顔が無表情になった。 「あの人のところに行くため?」 「……はるには関係ない」 「ふーん」 すごく冷たい言い方だった。 鋭い視線は、私を震わす。 視線を逸らすとはるは店員を呼んで、ホットコーヒーだけを二つ頼んだ。 「あの人とは、付き合ってるのか?」 「……はるには関係ない」 私が好きなだけ。 そう言ったら、はるはどうするだろう。 「ふーん」 「三上さんに何をしたの?」 昨日の続き。 “早く教えて”と彼を見つめた。 「俺は何もしてないさ」 「まさか、はるの会社が“時代矢”に変なことをしてるんじゃないよね?」  するとはるは「はっ」と意地悪に笑った。 「そんな力俺にないよ」 「だって、はるの伯父さんは偉い人じゃない……」「叔父は俺たちの今の状況を知らない。“時代矢”がなつきの会社ってことは知ってるけど」 私の気持ちを無視して外堀を埋めていくくせに、本当のことは言わない。 「……言えばいいのに……」
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