確かな恋心

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「や、やめて……」 驚いて、振りほどこうとするけれど、さらに強く捕まれる。 「話がしたいことがある」 「……私はない!」 「少しだけ」 そう言うが、何を言ってくるかわからない。 何が何でも逃れようと空いた手ではるの手を退かそうと掴んだ時だった。 「なつき、聞いて」 「やだよ、話すことなんてないもん」 「いや、聞いた方がいい。なつきの上司のことだぞ」 はるから私の上司と聞いて思い付くのは三上さんしかいない。 手が止まる。 はるから小さな笑みが見えたが、三上さんのことが気になる方が強く、動けない。 「はる、三上さんに、何かしたの?」 はるの口から三上さんの名前が出るなんて、嫌な予感しかしない。 「ははっ、俺があの人をどうするんだよ」 「……え?」 「あいつが何をしてるかも知らないで」 言ってる意味がわからない。
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