確かな恋心

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はるの顔は意地悪に歪んでいる。 すごく嫌な顔だ。 三上さんが何をしているというのだろうか。 少しの間沈黙が流れた。 私の反応を窺っている様子だ。 「何が言いたいの……?」 乗ってしまった。 はるの顔が緩む。 しかし、私の質問に返ってきた声ははるではなく希子さんだった。 「ごめんね、二人とも!」 「希子さん……」 「あれ、どうかした?」 私とはるの妙な様子に気付いたのだろう。 「いえ、なんでもありませんよ」 はるはにこやかな笑顔を張り付けて「なつきトイレだろ?行ってくれば?」と普段の口調で言った。 「……うん」 はるの言葉が離れない。 これははるの罠かもしれないのに、もっと話が聞きたくてしかたがない。
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