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「じゃあ冷やそう」
そう言うと彼はそっと私の手をとった。
その手はとても熱くてドキドキする。
側のコンビニで保冷剤を買うと、三上さんはハンカチにそれを包んだ。
「これは、原口の?」
はるにぶたれた時に差し出されたハンカチだ。
「はい」
三上さんが私の手からそれを抜き取る。
「え……」
「これは俺が返しとく」
そう言って、彼のパンツのポケットに入れた。
「あ、私が洗います」
「いや、いいよ」
彼の部屋にはため込んだ洗濯物がたくさんあるのを知っている。
家事能力がないところは毎日目にしているのだ。
「大丈夫」
「でも……」
「ちゃんと返しとくよ」
いいのだろうか。
だが、何を言っても三上さんはかたくなに拒む気がして、私は口を閉じた。
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